杉並区の保育園の民営化(というか、調理と用務の業務委託とか)

Project92 blog さんの Project92 blog: 仕事の『質』というもの その1 で語られている杉並区の公立保育園民営化の話も、何と言うか、私的に気になる話題。
実際には、ウチの子は調理と用務が既に民営化(というか業務委託)されている公立の保育園に通っていまして、って長くなるので珍しく「続きを読む」を挟みます。


でまぁ、今はうちの子は一部業務委託されている公立の園に通ってますが、保育園民営化 で語られているような高井戸保育園のような酷い例も知っていたので、自分の子が通っている園の調理と用務が民間に業務委託されると一番最初に聞いた時は緊張しましたねぇ。
実際に調理と用務が民間に業務委託されるに至るまでは… まぁ何回か説明会というか話し合いというかまぁそういう場が持たれたのですが… 何と言うかね。どっちもどっちだなぁと思いましたね。


「もう決まったことだからやりまーす。すみませーん。ご了承くださーい。」みたいな行政側と。
重大事のはずなのに集まりのよくない父母たち*1(で且つ一部には行政のやることは何でもかんでもハンターイ!みたいな人とかもいて)とでね、こぉ、お互い良い状況にしましょうよという雰囲気が感じられないというか、何と言うか。
仮にですね、コストが削減できて、安心できて且つ配慮された材料と調理で、さらに子供たちが「おいしい」と満足できるなら、それは公営だろうと委託だろうと関係ない訳で。コストが削減できて正しく保育行政に還元できれば、彼ら=保育課の方々も目標達成できて嬉しくて、自分たち=父母も嬉しくて、だからそういう winwin な状態をゴールとしてお互いが手を組めれば良いのにねぇ。
保育課の人達の態度も気になりましたが、批判のために批判してるっていうか何と言うか、父母の方の頭ごなしに業務委託反対な態度もどうかと思いましたねぇ。そこら辺が「どっちもどっち」というか。


結局3回開かれた説明会で全て参加してたのはウチともうひとご夫婦だけだったんじゃないかな。ウチの夫婦は反対一辺倒じゃなくてどうにか良くしましょうよという立場だったし、もう一方のご夫婦もそうだと思うんだけど。「あんなに反対してた人達はどうしたのかなぁ…」とか正直思いましたねぇ。反対だけすりゃぁいいってもんじゃねーだろってゆーか。


あと、行政の人達の情報開示とか説得の仕方が下手すぎて逆に可哀想になりましたね…。そりゃ反感買って当然というか。


たった1〜2週間前に平日の夕方に説明会開きますって告知してきて、「調理と用務の委託はもう議会で決まっちゃいました。私らも公務員なので逆らえません。ので、来年から委託します。でも調理の水準は落としません。とはいえ入札要件は開示できません。入札ですので委託先は当然価格で決まります。」とか、大した説明も書いてない紙っぺら一枚とともに言われてもね…。
会社を早引けして駆けつけたのにそんな説明かよってなもんで、そりゃ納得どころか同意もできませんよね。
質疑応答とやらも、父母の誰かが質問すると、保育課の人達はお互いに「えーっと… 誰が答えましょうか…」「私…かな…」「じゃぁお前答えとけ(偉い人)」なんて無言で目配せしてから答え始めたりしてね、答える気あんのかアンタらみたいな。


区の保育課の人達だって、保育を悪くしたい訳じゃないんだから*2、議会で決まる前とか決まった直後とか早目に説明会のアナウンスをしておいて、「これこれこういうビジョンに基づき、こういうゴールを目指し、こういうステップを踏んで、幾ら削減し、○○や□□に還元します。また、調理内容はうんぬんかんぬんでむしろ公営の場合よりも好評な場合もあり*3、食育の観点ではあれこれに配慮し〜、用務は〜…」 なんて充分な説得材料を基に説得しつつ、「現時点での要件はこれこれですが、○月○日には今日の質疑応答を反映した形でどこそこにて情報開示し〜、詳細な入札要件は残念ながら不正入札の可能性が有るので公開できませんが、○○××な形でうんぬんで、委託先が決まり次第〜、試食会を〜…」なんてやってくれれば、少しは「おぉじゃぁ聞いてやろうか」ってな気になるだろうにねぇ。
世の中にはプレゼン手法だの相手をコントロールする話し方だの何だのなビジネス書なんてのがありますが、一番それが必要なのはお役所の方々ではないかとか思ったりしたものでした。


なんて思うだけじゃあれなので、この説明会の質疑応答と他の園での状況とをまとめて開示して欲しいとか、ゴールとスケジュールとステータスを明確にして欲しいとか、情報開示の仕方はあれこれどうこうして欲しいとか、決まった後に結果報告するだけじゃなくてもっとこちらの判断材料を欲しいとか、やはり平日に説明会はダメでしょうとか、何だかそんな提案をしたような気がします。
(もしかしたら私らだけじゃなくて、先のもう一方のご夫婦が言ったことが混じってるかもしれませんが)
流石に子供のことなので、会社の会議よりかなり前向きだったような(笑

しかしあれ、世の中の行政がやる説明会ってのはみんなこんな感じなんですかねぇ。
どうであれ住民としては反対せざるを得ないってな説明会であればさておき、こんなんであれば、そりゃぁまとまるもんもまとまらんわなぁと思ったりします。お互いの合意を得つつ物事を前に進める場じゃなくて、単に決定事項を伝える場なんだもんなぁ。まぁソレを「説明」と呼ぶ会なんだろうけど。


とまぁ、保育園の調理・用務の業務委託って話から大分ズレましたが、業務委託が始まって6ヶ月が経って。
結果的には幸い悪い方向には行っていないと思います。ウチの子のところは。他の園*4は知りませんし、本当に悪い方向に行ってないかは解りませんけど。どっかで誰かがリベートでも受け取ってるかも知れませんしね。
ただ、委託が始まってから開かれた試食会の味も調理士の雰囲気も悪くなかったし、子供も美味しいと言っているし、特に悪い評判も聞かないし。なので委託自体は良くも悪くもって感じです。これで本当にコストが削減できていて正しい使い方をされるんであれば良いことなんではないかと思ったりします。


調理・用務の業務委託ってレベルじゃなく、完全な民営化となった際にも悪い方向に行かないと良いですけど。
Project92 blog: 仕事の『質』というもの その1 でも語られていますが、たった一人保育士が変わるだけでも子供にとっては大事(おおごと)ですからね。まぁ一人変わった位ならサクッと忘れてケロッとしたりするのもこれまた子供なのですが。
しかしまぁ今後10年間で10園に拡張されるであろう公設民営化が上手く行って欲しいものだなと思います。もちろん場合によっては民営化の見直しも視野に入れた形で。というか、行政がどーのとか民営がどーのより、子供のためになるようなプロセスを経て欲しいものです。


以上、ホントはウチの子の園の初回の説明会なんて去年の今頃かもう少し後の話だから、もう約一年も前なんですけど。Project92 blog: 仕事の『質』というもの その1 を読んだらふと思い出したので長々と書いてみました。

*1:とはいえ、初回の説明会は平日の夕方だったのでやむを得ない。

*2:というのは何回か話して私はそう受け取りました。

*3:というのは本当で、公営より好評な場合もあったと聞いている。し、4月以降に委託されている状況を鑑み且つ試食会とか出た感じでも私は特に不満も感じていないし、比較的好印象である。

*4:今年度から杉並区全体で4園が調理・用務の業務委託を始めています。